半導体業界の紹介

半導体とは

半導体とは?

物質には、金属のように電気を通す「導体」と、ガラスやゴムのように電気を通さない「絶縁体」があります。この2つの中間の性質を持った物質を「半導体」といい、トランジスタやダイオード、IC(集積回路)のように半導体を用いたデバイスのことを「半導体デバイス」といいます(慣用的に「半導体」とする場合もあります)。

半導体デバイスは、一定の条件により電気の通しやすさが変わるという半導体の特徴を生かして、電気の流れる向きや大きさを自由に制御することができます。

半導体デバイス

半導体デバイスは、複数の電子回路の層が重なってできています。ウェーハという基盤に金属の薄い膜を載せ、それを加工して電子回路を作ります。これをくり返して何層にも重ねることでたくさんの回路が集まった半導体デバイスができるのです。半導体デバイスには、情報の記憶、演算処置などの機能があり、電子機器などの頭脳として重要な役割を果たしています。

ウェーハ上に形成する膜の層を増やし、集積度を上げることで半導体デバイスの性能が高度化するため、世界中で半導体デバイスの超微細加工技術の向上が進められています。

生活に必要不可欠な半導体デバイス

半導体デバイスは、家電製品やスマートフォン、PC、自動車など一般消費者が使用するものから、鉄道、飛行機、データセンタなど社会に不可欠なものまで、さまざまな場所で使用されています。さらに、高機能な製品ほどたくさんの種類の半導体デバイスが必要となります。例えば、PCにはCPU(プロセッサ)、DRAM(メモリ)、NAND型フラッシュメモリなどの半導体デバイスが搭載されています。

CPU(Central Processing Unit)

PCを構成する代表的なデバイス。他の装置や回路の制御、データの演算などを行います。

DRAM(Dynamic Random Access Memory)

半導体メモリの一種。電気が供給されている状態でのみ記憶を保持する「揮発性」メモリに分類されます。

NAND(論理演算における「Not AND」の略)

半導体メモリの一種。電気が供給されない状態でも記録を保持する「不揮発性メモリ」に分類されます。

半導体業界構造

電子機器、半導体製造装置の市場規模

半導体関連の市場規模はどのくらいでしょうか?

2022年の電子機器市場は309兆円、さまざまな場所で使用されている半導体デバイス市場は79兆円、また、半導体を製造するために欠かせない半導体製造装置市場は13兆円です。

その内、世界3割の半導体製造装置が日本国内で製造されています。(当社調べ)

出所

Gartner®, “Forecast: Semiconductor Capital Spending, Wafer Fab Equipment and Capacity, Worldwide, 4Q22 Update” Bob Johnson et al., 22 December 2022 (Exchange Rates per U.S. Dollar -Yen 132.82) 2022年Revenueより 電子機器市場=Electronic Equipment Production、半導体デバイス市場=Semiconductor Revenue、半導体製造装置市場=Total Wafer Fab Equipment GARTNER is a trademark and service marks of Gartner, Inc. and/or its affiliates and are used herein with permission.
Calculations performed by KOKUSAI ELECTRIC.

半導体業界構造

Charts/graphics created by KOKUSAI ELECTRIC based on Gartner research.

半導体デバイスを製造するデバイスメーカーは、半導体デバイスを作るために必要な仕様を半導体製造装置メーカーに伝え、半導体製造装置メーカーはその仕様を満たす装置を開発し、デバイスメーカーに販売しています。

半導体関連市場は従来の携帯電話やPCなどのコンシューマー向けからデータセンタや5G、AIなどの高成長産業向けへと需要がシフトしながら拡大しています。

半導体デバイスの需要はますます増加を続け、今後も長期的に市場が拡大する見通しです。

需要拡大に合わせて高度な半導体デバイスを数多く生産するためには、難易度の高い成膜と高い生産性を両立する半導体製造装置が求められています。

高成長産業向けへと需要がシフトしながら拡大

半導体デバイス製造工程

製造工程と当社グループの役割

半導体デバイスの製造には2つの工程があります。ウェーハの表面に何層も薄膜を形成し、設計した電子回路を形成する「前工程」と、ウェーハから半導体チップを切り出し、パッケージに封入して組立や検査を行う「後工程」です。

前工程

半導体デバイスの前工程は、電子回路形成に必要な薄膜を形成する「成膜」、成膜後に熱やプラズマを用いて膜質を改善する「トリートメント(膜質改善)」、成膜上に設計された回路パターンを転写する「リソグラフィー」、パターニングに沿って膜を取り除く「エッチング」、各工程間でウェーハを洗浄する「洗浄」、各工程間の「検査」で構成されます。

これらの工程をウェーハ上で最大数百回くり返すことで、回路を重ねていきます。

当社グループは、前工程のうち「成膜」と「膜質改善(トリートメント)」の工程を軸に事業を展開しています。これらを合わせた広義の「成膜」工程は、ウェーハ上の回路形成において重要な役割を担うことから、各装置に高度な技術と信頼性の高い製品提供が不可欠となります。当社グループの主力製品であるバッチ成膜装置、枚葉トリートメント装置は、世界中の半導体デバイスメーカーから高く評価され、世界トップクラスのシェアを有しています。

バッチ成膜装置

1度に複数枚のウェーハを成膜することができる装置

枚葉トリートメント装置

1枚ずつウェーハをトリートメントすることができる装置

後工程

後工程では、ウェーハから半導体チップを切り出し、フレームに固定、配線を接続し、パッケージに封入して検査を行います。ウェーハには100個以上の集積回路が集まっているので、これを個々に切り出してそれぞれを製品として組み立てます。前工程を経たウェーハを加工するため、高い歩留まりが求められます。

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